小淵沢の悠山房
−地域で最良の欧風料理−
今はグラビア満載の料理雑誌が星の数ほどあるが、二昔前まではほとんどなかった。その当時の料理の情報源は婦人雑誌。そして、その最高権威は家庭画報。何年か講読すると同じような企画が一巡りすると揶揄されることもあるが、それでも掲載される料理もその写真もレベルが高く、なによりもそこからは山の手のお金持ちの生活の匂いがし、未だ若かった僕はこのヴァーチャルな世界に憧れた。
ここ小淵沢の「悠山房」は昔憧れた家庭画報の料理記事のグラビアを飾るような欧風家庭料理が確かな技術を持って調理された実体として、最良の状態で供される希少な店。
建物はドイツ建築を学んだ地元の大工さんの作品。質感の高いテーブルと椅子。テラスの向こうは洒落た乗馬クラブ。彼方には雪をかぶった山並み。役者は揃いすぎるほど揃っている。でも、厨房を預かる奥さんも接客を担当するご主人も決してスノッブに流れず、とても親しみやすく誠実な方たち。子供にもやさしい。
ここは地域で最良というだけでなく、東京から車を飛ばしてわざわざ行く価値のある店だ。今度の日曜にでも是非どうぞ。ただし、予約を忘れないように。
